禁酒チャレンジを始めて1カ月と25日がたった

禁酒チャレンジを始めて1カ月と25日がたった

今年の7月に44歳を迎えたが、その1カ月ほど前から、チャレンジしていることがある。
それは、禁酒。

「今、実はお酒をやめていて・・・」と知り合いにいうと、ほぼ99%が「えっ!なんで?!」と驚くくらい、私は知人たちに「お酒が好きな人」と認識されていると思う。

それでも最近は以前より酒量が少なくなってきていた。
家では、平日にハイボール3杯ほど。
外で友人と飲むときは、1軒目でビールやウーロンハイなどをジョッキで5〜6杯、そのあとも飲み続け、大体記憶がない。
「お酒で記憶をなくす人は、依存症の傾向があります」と何かで読んだ。
アルコール依存症だけは避けたい。でも、このままだと・・・という危機感があった。

「禁酒をしてみようと思う」と、家族や親しい友人に宣言してみたところ、ほぼ全員が「まあ、無理でしょう」と言い、だれ1人として私が禁酒できるとは信じなかった。
私自身がいちばん、自分を信じていなかった。

だからこそ、チャレンジするのはおもしろそうだな、とも思った。

酒をやめたい理由

きっかけは、いつもお世話になってる美容師さんが禁酒を始めたと聞いたから。
「早川さん、おれ、じつは酒やめたんすよ」ってカミングアウトされた。

私は2カ月に1回ほど美容院に行くが、彼との会話はいつも、酒とサウナと仕事の話。
彼は私以上に酒量が多い人で、2人していつも、「よくないよねぇ」「でも適量で止められないよねえ」と、「酒と上手くつき合いたいのにできないおれら」なトークばかりしていた。

そんな彼が禁酒を始めた。先を越された!と、ちょっぴり裏切られたような気分だった。
「どうやって?」と聞くと、断酒のYouTubeを見たのだという。
YouTube動画には断酒や禁酒のコンテンツがいっぱいあり、どうしても飲みたくなったらそれを見るらしい。
すると、酒の欠点を再認識して飲みたい気持ちが和らぐのだそうだ。
彼はもう禁酒を始めて1カ月半くらいたっていると言う。

「どんな変化があった?」と興味津々で聞いてみた。
彼は、「まず仕事のパフォーマンスがあがるし、夜に酔ってない時間で筋トレしてる。新しい勉強とかもできちゃう。よく眠れるようになったし、朝スッキリ起きられるよ」と言う。
ポジティブな変化しかない。

そうでしょうとも。やめたら良い変化しかないだろうことは、頭ではわかっている。
まず私たち酒飲みは、仕事が終わると酒を飲みながら夕食のようなつまみを食べて、テレビを見たり動画を見たりしながらダラダラするもんである。
その時間がきっともったいない予感はしていた。
でも、その時間こそが至福でストレス発散であることも確かである。

ただ、酒による至福な時間を堪能したあとには、二日酔いなどの身体的なことや、「また飲みすぎちゃった」と自分を否定する気持ち、といった新たなストレスも生まれる。
ここ何年もやめたいのにやめられない、という負のスパイラルから抜け出せずにいた。

もう40代半ば近くになって、そろそろ健康のためにも、残り時間を有意義に過ごすためにも、酒との付き合い方を変える必要がある。
彼の話を聞いて、彼がやめられたんなら、もしかしたら私にもできるかもしれない、と希望がわいた。
あとはやるかやらないか、だ。

禁酒チャレンジにあたって用意したこと

そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本」 垣渕洋一(著)

彼の話を聞いたあと、「そっかー私もやるかなーやれるかなーー」って考えていた数日後、
深夜まで友だちと飲んでカラオケで騒ぎ、翌日に二日酔いになった。
1軒目で2人でワインを2本開け、2軒目で友人たち数名が合流しウーロンハイを数杯飲み、さらにカラオケへ行って、ハイボールなどを飲んだと思う。
二日酔いのグラグラする頭で「もう、二日酔いはじゅうぶんだ」と思った。
24年間どんだけ二日酔いをしてきたことか。
「もう、二日酔いはじゅうぶんだ」と、何度思ったことか。
「そろそろ頃合いです。」と、私の中のだれかが言った気がした。

そして、禁酒にチャレンジしてみることにした。

まずはYouTubeを見た。禁酒で再生回数が上位の人の動画や、中田敦彦さんの動画を見た。
中田敦彦さんの動画で紹介されてた本「お酒をやめたいと思ったときに読む本」も買った。
この本から私が受け取ったメッセージは「酒は合法ドラッグ!」ということだった。

次に、その本に「禁酒を成功させるポイントの一つは周囲の人に宣言すること」とあったので、宣言した。
宣言した結果は、冒頭に書いた通りである。
さらに、スマホに禁欲アプリを入れた。欲を我慢できた日数が表示される簡単なものだ。
欲が我慢できなかったら、カウントが0に戻る。

ここまで周囲を万全に固めて禁酒に臨んだのは初めてだった。

それでも、私は自分を信じていなかった。
ここまでしても、禁酒ができないトホホな自分なのだろう、という諦めと
もしかしたら、トホホな自分から抜け出せるかもしれない、というほんのわずかな期待、
もう自分にがっかりしたくない、自分をコントロールできるようになりたい、という願望。
そんな思いが渦巻いていた。

禁酒チャレンジしてからの体調の変化

始めの1週間は、ノンアルコールビールで乗り切った。
禁酒の本を読んだおかげで、おいしそうにビールを飲んでいるテレビCMを見るたびに、「これは合法ドラッグだ・・・」と自分に言い聞かせることができた。
夕方になると、手が震え出し・・・はしないが、どうしてもクセというか、喉がビールを求める。
そこで、ノンアルコールビールを飲むと、いい具合に「飲みたい気持ち」が充足し、さらに「飲んでしまった罪悪感」は皆無。
これはいい。

1週間ほどたつと、睡眠に変化が現れた。
私はもともと睡眠が短く、7時間以上寝ることはめったにない。
夜中も何度も目が覚めることもある。
それが、夜中に目が覚めることがなくなった。
寝起きもスッキリ。「ぐっすり眠った!」とさわやかな気分で目覚めることができる。
これはいい。

さらに、夕食のあとの時間で読書が進むようになった。
酒を飲んでいると、推しの動画をひたすら見続けてニヤニヤしたり、
意味もなくSNSを徘徊してニヤニヤしたりして1〜2時間が過ぎてしまっていたのが、
積読になっていた本をどんどん読むことができた。
今日はどんな物語だろう? と、新しい世界との出会いにわくわくする。
なんだかいいぞ。

体にいい変化が起こっていることを実感すると、酒を飲みたい気持ちがあまり起こらなくなっていた。私は健康を手に入れている、という実感が自信にもなった気がする。

禁酒中の誘惑・・・!

絶対赤ワインに合うお料理。お酒がなくてもおいしいけど!

禁酒を始めて3週間ほどしたころ、友人の誕生祝いのために仲間と集まった。
私が最後に酒を飲んだ日のメンバーだ。
あぁ、もしかしたら勧められて飲んじゃうかも・・・と決意が揺らぎそうではあった。
否。大丈夫、今回の私はちょっと違うぞ。どれだけ勧められても決して口にするまい!
と固い決意を持って参加した。

彼らは、私が酒を飲まなくても遠慮する人たちではないから気が楽だった。
結局、私は友人たちみんながどんどん飲んで酔っ払っても、一口もアルコールを口にすることはなかった。
飲み会に参加してみて気づいたのは、「飲まなくても友だちとの集まりは楽しい」ということだった。
それまでは、「みんなで飲むから楽しい」と思っていた。
でも、仲よしの友人とは、飲まなくてもワイワイ楽しいもんだ。
これはかなり大きな気づきであった。

そのあとも、誘惑はあった。
友人が私の誕生祝いにビストロに誘ってくれた。
このビストロの牛や鴨のグリルはとってもおいしくて、赤ワインが最高にあうのである。
友人は、ホワイトビールを飲み、スパークリングワインを飲み、赤ワインを飲んでいた。
あぁ、なんておいしそうな字面だろうか。
友人に運ばれてきた幸福のドリンクを見た私は思わず「ぐっはー!おいしそう!」と叫んだ。
友人は「1杯くらいいいじゃん」と誘惑してきた。
しかし、私はペリエを飲みつづけた。

このころには、もう「うまそうに見えるがこれは合法ドラッグだ・・・」と言い聞かせなくても大丈夫になっていた。
おいしそうだけど、私は自分のために飲まないって決めたんだ、と、自分を納得させるのが上手になっていた。

禁酒チャレンジをいつまで続けるか?

これを書いている今、私のスマホの禁欲アプリには
1カ月25日3時間
禁欲を続けている、と表示されている。

もう、ここまで来ると、飲まないことは苦しくない。
お酒を飲まない生活になって、飲むときよりも楽しい日々を過ごせている実感がある。
私の場合は、自分でコントロールして酒を楽しむのではなく、酒に振り回されていたのだと、よくわかった。
自分は何かと依存傾向にあることは以前から自覚している(タバコもひどかった)。
だから、再開してしまったらきっとまたコントロールができなくなることが怖い。

今のところ、とりあえずの目標は5カ月。
肝臓の細胞は5カ月で入れ替わるらしいと聞いたので、なんとなく5カ月にしてみようと思った。
そのあとどうするかはまだ決めていない。
5カ月続けられたら考えようかな。

でも、年始には大好きな麦焼酎の兼八を飲んでおせちを食べてぐうたら過ごしたい。
お酒を口にするのは、年に何回、と決めるといいのかもしれない。

今の段階では、「無理」と思っていたことができたことで、自分に自信がついたことはよかった。
子どもたちにも「無理でしょ」と言われていたけど、「やればできる」姿を見せられてるかもしれない(そういうことじゃない?)。

何より、自分のことを前より信じられるようになったことが
禁酒を始めていちばん、よかったことかもしれない。