ある町にあるクリニックに訪れる人たちの、6つの物語。窪美澄著『夜空に浮かぶ欠けた月たち』(角川書店)
昨夜、泣きながら読んだ。
泣きすぎて今朝は両まぶたがぱんぱんに腫れてしまった。
胸の中に、やさしさがじんわりひたひたと広がっていって、やさしい気持ちでいっぱいになる。
紡がれることばぜんぶ、栄養剤みたいだった。
窪美澄さん、すきぃぃぃぃ!
と思いながら読んだ。
とくに赤ちゃんがいる生活の描写のあたたかさと愛に胸を打たれた。
体温が高くしめったような甘いにおいのする小さな命を、今私がこの胸に抱いているような、そんな錯覚を感じた。
16年前、長男を産んだばかりのころの、やわらかな命の感触を、今ここにあるかのように思い出した。
心が少し弱ったら、この物語たちが、きっと少し栄養をつけてくれる。
傷ついた心のそばに、静かに寄り添ってくれるような。自分の足で立てるまで、見守って待ってくれるような。
ずっとそばにいてほしい、そう思える一冊でした。