ピラティスを体験したら荒地の魔女を見つけた

ピラティスを体験したら荒地の魔女を見つけた

2023年5月4日

30代の頃、スポーツジムでヨガを2年ほどやっていたことがあった。
フリーライターになってからはスポーツジムに通う余裕がなかったのだが、ずっとこの数年、ヨガかピラティスのレッスンを再開したいと思っていた。
ゆるみっぱなしのおなかと背中のぜい肉をどうにかしたいし、姿勢の悪さや腰痛を改善したかったからだ。

最近になって、電車で2駅の場所にピラティスのスタジオがオープンするというチラシがポストに入っていたので、体験に行ってみることにした。

そして今日、体験。

私は初心者ということで、鏡の真ん前のマットでレッスンを受けた。
鏡に向かって右腕を下にして横になり、右腕をまっすぐ頭のほうに伸ばし、頭をその腕に乗せる。左手は体側に沿わせる。そして足を床から少し浮かせる。というポーズをとった時のこと。

ふと、鏡に映る自分の顔に視線がいった。
そこに見えた自分の顔が、あまりにも衝撃的だった。初めてお目にかかる人のようだった。
おでこ、眉のあたり、頬、あごなどの顔の皮という皮が、床に向かってビヨ〜〜ンとたるんでいるのだ。
伸び切った赤白帽のゴムひもみたいに。
あるいは、『ハウルの動く城』の荒地の魔女。
アニメってデフォルメしてると思ってたけど、あれ、リアルだった。

これがたるみか…!
横になると、ここまで如実にたるみがわかるのか…!
これまで、立って鏡に映る自分の顔しか見たことがなかったら、いくらかたるみ始めたな、と自覚していると思っていた。
私の自覚は足りなかった。

まさかおでこの皮まで床に向かってのびるとは。

そして私はもうそれ以上、鏡に映る自分の顔を見ることができなかった。
おもしろすぎるからだ。
見たら絶対笑ってしまう。
ハードすぎるレッスン中に笑っている場合ではなかった。

私が体験したのは中級クラスだったらしくかなりハードで、もう、腹筋と内腿のプルプルが止まらなかった。
激しく動いているわけではないのに汗が流れ出る。
でも、30〜40分のレッスンを受ける前と受けた後とで、体の変化を感じた。

体験レッスン終了後、入会するかどうかの説明を受ける時間があった。
私の心はほとんど決まっていた。
気づかずにいたけど、私は私が思うより43歳だった。
もっと43歳の自分に向き合う必要があると思った。
(あと数カ月で44歳になるからなおさら)

コーチに促されるまま、私はいくつかの書類にサインし、レッスン料引き落としの手続きもした。
自分でも驚くほどスムーズに入会することになった。
大丈夫。壺を買わされるわけではない。
おなかや背中や脇腹や太ももの筋肉の痛みが、「絶対効果がある」と言っている。

数カ月後、おなかや背中のぜい肉は薄くなるだろうか。姿勢の悪さと腰痛は改善するだろうか。
荒地の魔女のたるみに変化はあるだろうか。
それとも顔は変わらないだろうか。

それも含めて、数カ月後の自分の変化が楽しみだ。