ピアニストの斎藤守也さんのバリアフリーピアノコンサート「小さき花の音楽会 vol.10」を聴きに行きました。
障害のあるなしや年齢にかかわらず、「心のバリアフリー」を大切にしながら、観客同士で少しだけ気づかいあいながら、みんなで音楽を楽しむ音楽会、なのだそうです。
以前たまひよで取材させてもらってから、ぜひ実際に伺いたいと思っていたので、とっても楽しみにしていました。
バリアフリーの会場
会場に入ってすぐに目を引いたのは、神奈川県内の福祉作業所の方々が制作したカラフルなランタンです。ピアノを囲むようにステージいっぱいに色とりどりのランタンが並んでいて、幻想的な雰囲気でした。
ステージの前方の客席はフラットになっていて、車椅子や医療バギーが入れるようになっています。ジョイントマットもあるので、そこに寝そべって聴くこともできるようになっていました。この日は車椅子が4〜5台入っていたと思います。
演奏会前には、「演奏中に看護や医療行為の音が出ることがあります」などとアナウンスがありました。
演奏会中は、トイレなどの出入りが自由です。そのほか、演奏中に体調が悪くなったりしたときにサポートしてくれるらしいスタッフがスタンバイしていました。曲間のトークやアナウンスには手話通訳が入っていました。さまざまな観点からの「バリアフリー」を感じました。
演奏曲目
だれもが耳にしたことのある、童謡やアニメソング、守也さんのオリジナル曲まで、どんな年代も楽しめるプログラムでした。
なじみのあるメロディの曲だけれど、アレンジがジャズやロックやブギウギっぽくて、おしゃれでカッコいいので、大人こそ楽しめると思います。
とくに「小さき花の詩」は泣けました。
守也さんのピアノユニット“レ・フレール”の楽曲「On y va!」はヤバい。
楽しい演出
ピアノをひきながら観客をあおるピアニストを初めて見ました。
演奏中に、守也さんがハンドクラップや足を踏んで、観客に手拍子での参加を求めてくれるんです。
そのタイミングがわかりやすくて、観客のみなさんが一緒に演奏している一体感がありました。
先日行ったAdoちゃんの国立ライブを思い出しました。
オタクたちが、メロディの合間にかけ声をかけたり、サビを一緒に歌ったりする感じ。
ピアノのコンサートでそんな楽しさが味わえるとは! と驚きました。
そして、スクリーンに歌詞や写真や動画など映像が映し出される演出も楽しかったです。
スクリーンに歌詞が表示されるので、一緒に歌っている子どももいました。
ふたがはずれたグランドピアノ
あれっ、と思ったのは、ステージのグランドピアノのふたがはずされていたこと。私がこれまで数回観に行ったピアノのコンサートでは、ふたがはずれているグランドピアノは見たことがありません。
ふたを開けた状態では、前の座席の人からスクリーンがまったく見えなくなってしまうから、はずしてあるのだそうです。
ふたはピアノの弦の反響板になるので、客席に音を届ける役割もあるそうなのですが、ふたがないと反響させられないので、音量を大きくしないとならないらしいです。
つまりパワーがいるということ。
演奏がすごくパワフルでエネルギッシュだな、と感じたんですが、こういう技術的な理由もあったみたいです。
客席のあたたかさ
小さいお子さん連れのご家族も多かったです。
これまで何度かクラッシックのコンサートを観に行きましたが、こんなに客席がにぎやかなのは初めてでした。決して悪い意味ではありません。とてもあたたかかいと感じました。
だれかが演奏中に声を出していても、子どもが泣いていても、演奏者から届く音楽のすばらしさは変わらないんだなあ、と、初めて知りました。
演奏者も観客も、全員で音楽を作り、楽しんでいる感じです。すばらしい空間でした。
子どもが小さいときに、こんな環境があったらなあ。
演奏会を聴きに行きたくても、子どもと一緒と考えると、やっぱり静かにしていられないから、足が遠のくんですよね。
だけど今日のコンサートでは、お母さんやお父さんに抱っこされて、親子いっしょに音楽を楽しんで、みんなにこにこしていたんです。
そして守也さんのピアノもとても、あたたかかったです。
イチオシは「線路は続くよ、どこまでも」
とくに楽しかったのは、「線路は続くよ、どこまでも」です。守也さんご自身が撮影した電車動画にあわせて、アレンジされた曲が演奏されました。曲の始まりには「電車がまいります。黄色い線の内側までお下がりください」のアナウンスと、ドアの開閉メロディ。そして曲の終わりにも「ドアが閉まります、ご注意ください」とドア開閉メロディ。
私は鉄道マニアではないですけど、楽しかった〜!
おわりに
今回のコンサートはサプライズゲストでタニケンさん(フックブックローのけっさくくん)と太田めぐみさん(歌のお姉さん)の出演もありました。
そして、おみやげにはコンサートのメインイラストのポストカードをプレゼントしてくれました。
カワイイ。
このTシャツがあったらほしいよね、と一緒に行った編集さんと話していました。
会場で、てぬぐいのグッズを買うとサイン会に参加できるのですが、演奏会終了後のロビーには、女性ファン皆さんの長蛇の列ができていました。さすがの人気!
私も7月にあるBunkamuraのライブチケットをポチってしまいました…!