湊かなえ – Shufukan

やっと読んだ！初版は2012年。去年映画化された作品。読みたい、でもこわい、とびびって手を出せなかった。やっと読んだ。湊かなえさんの物語が好きでいくつか読んだが、いつも、こわい、けど優しい、と感じる。 この物語では、いくつかのできごとが母目線、娘目線で描かれる。どちらの目線で語られるかによって、内容が少し異なっている。そのことに気づいてから、感情移入しすぎずに冷静に読むことができた。 いろんな重要そうな部分が明かされずに物語が進んでいくので、ずっとはっきりしないモヤモヤを持ちながら読み進めていくと、終章で、えっ？！と驚かされた。 読み終わってから「ん？そういえば気になったあの部分は･･･」とパラパラと再度読み返したらところどころに伏線が散りばめられていて「こっわぁっ！！！！」となった。 そしてもう一度、終章を読むと･･･いろいろあった登場人物たちが結果的になんとなくいい感じに収まったような気もするけれど、決して、「よかったね、チャンチャン！」とは思えない。 最後の一文を読んで、終章のタイトル「愛の歌」の意味をまた考えさせられる。 YouTubeにあげられていた戸田恵梨香さんと湊かなえさんの対談で、湊さんは、「自分の中に母性がどれくらいあるだろう、ではなく、どう目の前の人に接していけばいいんだろうと考えるのが、みんなが気持ちよく過ごせるやり方なのかな、と自分で答え探しをしながら書いていた」と言っていた。 先日観た映画「怪物」とも重なる部分がある作品だった。

こわい、けど、優しい。湊かなえ 著『母性』

こわい、けど、優しい。湊かなえ著『母性』